末梢血管専門外来 下肢静脈瘤

当専門外来では、下肢静脈瘤の治療を行っております。

下肢静脈瘤ってどんな病気?

下肢静脈瘤

よくおこる血管疾患のひとつです。足の血液が心臓の方へスムーズにもどらず、静脈に溜まって血管が拡がり、ボコボコと浮き出てコブができているように見えます。

下肢静脈瘤の症状は?

個人差はありますが、むくみやだるさ、足がつる「こむら返り」などの症状の他、悪化すると痛みや潰瘍が発生することもあります。

  • むくみ・だるさ・冷え・かゆみ・湿疹・夜中に足がつる「こむら返り」
    初期の症状は分かりにくく、⾃覚症状がない⼈ もいます。
  • 痛み・皮膚炎・湿疹
    進⾏すると静脈の炎症や⾎栓ができ、痛みを感じます。⾎液が溜まることで⽪膚に栄養が届かなくなり、⽪膚炎や湿疹など、⽪膚にも影響がでてきます。
  • 色素沈着・潰瘍
    重度になると、静脈が異常に腫れて簡単に出⾎することや⽪膚が弱くなることで、⾊素沈着や潰瘍になります。

下肢静脈瘤はなぜ起こるの?原因は?

静脈には⾎液が逆流するのを防ぐために、逆流防⽌弁というものがあります。運動不⾜や⽴ち仕事で、⾎液が⾜に溜まって⾎管に負担がかかり、 弁の機能が低下したり、弁が壊れたりして下肢静脈瘤がおこります。加齢も原因のひとつです。

命に関わる病気ではありませんが、間接的に他の病気へ影響を及ぼすことがあります。放っておくと悪化してしまうので、炎症による痛みなどがでる前に、医療機関にかかるようにしましょう。

下肢静脈瘤の予防のポイント

血液が足にたまらないようにすることです

運動不⾜の⼈ → ⾜の筋⾁を動かす

  • ⾃転⾞をこぐ
  • 散歩して歩く距離を増やす

⽴ち仕事が多い⼈ → ⾎液が⼼臓に戻りやすくする

  • ⾜を⾼くして休憩する
  • 寝るときは膝下に座布団などを置いて⾜を⾼くする

運動する時間がとれない、休憩中に⾜を上げられない → 椅⼦に座ってできる運動をする

  • つま先やかかとを上げ下げして、ふくらはぎを張ったりゆるめたりします

下肢静脈瘤の治療方法は?

手術をしない圧迫療法、血管を縛る高位結紮術、静脈に硬化剤を注入する硬化療法、血管そのものを抜去するストリッピング術、血管を内側から焼灼する血管内治療などがあります。なかでも、レーザーや⾼周波を使った⾎管内治療は、⼩さな傷跡ですみ、合併症も少ない治療法です。当院では、2013年1月より血管内レーザー焼灼術を開始し、2015年4月に高周波治療器を導入し、高周波による血管内治療の開始、さらに2020年4月より医療用接着剤を使用したベナシール治療をスタートさせました。

複数の選択肢の中から患者様のご希望や病状に合わせて、適した方法で治療しています。

血管内治療について

ベナシール治療(医療用接着剤を使用した下肢静脈瘤閉塞術)

レーザーや高周波治療など従来の治療とは異なり、熱を使用せず血管内にカテーテルを挿入して医療用接着剤を注入し治療する方法です。そのため低侵襲(患者様の体への負担が低く)治療後の傷口もごく小さい治療法です。

逆流を起こしてしまい静脈瘤の原因となっている静脈の中に、専用に開発された医療法接着剤(グルー)をごく少量注入することでその静脈を閉塞させ逆流を治療します。

次世代の下肢静脈瘤医療の選択肢の1つとして、2019年12月に認可され保険適用となりました。

レーザー治療

血管の内側から焼いて閉塞させる血管内焼灼術は、小さな傷跡ですみ、合併症も少ない治療方法です。

治療する静脈に針を刺すか切開をして、静脈の中に非常に細いファイバーを通していき、疾患のある静脈の所でレーザーを照射します。レーザーの熱で血管を内側から焼いて閉塞させます。焼いた血管は、数ヶ月で周りの組織に自然に吸収されます(血管内レーザー焼灼術)。

高周波治療

レーザーと同じ方法で、高周波を照射するのが高周波治療です。レーザー治療に比べて、痛みが少ないとされています。

下肢静脈瘤

1 カテーテル挿入

下肢静脈瘤

2 血管の閉塞

  1. カテーテルを血管内に挿入し、治療する位置まで前進させる
  2. 高周波エネルギーがカテーテルに送られ、カテーテルの熱により血管のコラーゲン繊維が変形して血管が閉塞する

血流は自然に正常な血管を通るようになります。

  • 足の状態、治療方法にもよりますが、血管内治療は数時間で完了する日帰りから1泊2日の入院まで
  • ベナシール、レーザー、高周波とも健康保険適用

受診について

まずはかかりつけ医にご相談いただき、紹介状をお持ち下さい。
かかりつけ医がない方は、火曜・木曜いずれも午前の外科(近藤医師)を受診下さい。(紹介状がないので保険外選定療養費が追加となります。)

※2020年4月、清恵会病院は下肢静脈瘤に対する医療用接着剤を使用したベナシール治療の施設基準による実施施設として、また近藤医師は認定医として下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会から認定されました。

※2012 年9 月、清恵会病院は下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施施設として、また、近藤医師は実施医として下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会から認定されました。