神経免疫疾患センター

このページの目次
  1. 神経免疫疾患とは
  2. 神経免疫疾患センターについて
  3. 神経免疫疾患の治療について
  4. 受診について
  5. 地域医療機関の方へ

神経免疫疾患とは

免疫とは感染症や異物が体内に侵入した際にそれを排除するために人体に備わった機能の1つです。
免疫機能が低下するとインフルエンザなどの感染症に罹りやすくなったり、重篤化しやすくなったりします。ところが、この免疫機能が何かの拍子に不調を起こし、自らの体の一部を異物だと誤認し排除しようと攻撃してしまい、身体に様々な症状が出てしまうことを免疫疾患と言います。
神経免疫疾患とは、免疫が神経系を攻撃してしまう一群の疾患のことで、その中でも当センターでは下記の4疾患を中心に様々な症状に合わせて柔軟に対応できるよう脳神経内科専門医を中心とした多職種でチームを組み、専門的医療を行っています。

多発性硬化症
中枢神経(脳・脊髄・視神経)の病気。多発性硬化症は炎症によって、脳からの信号が筋肉に伝わらなかったり、逆に脳への信号が目や皮膚の感覚器から伝わらなかったりします。
その結果、視力・運動・感覚・排泄・認知などに神経症状(障害)があらわれます。
視神経脊髄炎
多発性硬化症の1部とされてきたが、近年、別の病気であると考えられるようになってきました。
特徴的な症状として視覚異常(物が見えづらい)・筋力低下(手足に力が入らない)、感覚麻痺(しびれや鈍麻)、吐き気、嘔吐、しゃっくりが続く、意識がもうろうとするなどがあります。
重症筋無力症
筋力が低下する疾患であり、同じ筋肉を何度も動かしていると、すぐに疲れ力が入らなくなってくるのが大きな特徴です。
目や瞼(まぶた)を動かす筋が障害される眼筋型と、全身の筋力低下をきたす全身型があります。
慢性炎症性脱髄性多発根神経炎
手足の運動や感覚をつかさどる末梢神経に炎症が起こり、手足の力が入りにくい、物をうまくつかめない、歩きづらい、腕を上げにくい、などの運動障害や手足がしびれる、厚さや冷たさを感じないなどの感覚障害がおこる疾患。

神経免疫疾患センターについて

当院では、上記のような神経難病をお持ちの方々の診断と治療を積極的に取り組んでいます。
神経難病は、再発・寛解を繰り返したり、慢性・進行性の経過を辿ったりします。
昔は重篤で治療法も限られており、一度発症してしまうと少しずつ悪くなるといった印象が強い病気でした。

しかし近年、医学は目覚ましい進歩を遂げ、神経免疫疾患においても少しずつですが、着実に新しい治療薬・治療法が増えてきています。
そして、難病とされる神経免疫疾患の中には、早期の段階で強い治療を開始するとその進行を抑えられる場合があるということも近年わかってきました。
神経難病の治療で何よりも大切なのは「早い段階での治療を開始する」ことであり、治療を開始するためには「早い段階での適切な診断」が必要不可欠となってきます。

神経免疫疾患の治療について

神経免疫疾患は神経難病とも呼ばれ、国から難病指定されている疾患が多くあります。
しかし、初期症状が分かりづらい、他の疾患の症状に似ている、診断が難しいなどの様々な理由で複数の診療科を巡り改善されず藁をもすがる思いで神経免疫疾患センターや脳神経内科を受診されやっと神経難病であると診断されるケースが多くあります。

神経免疫疾患では、早期診断・治療の開始がその後の患者様の状態を左右する大切なポイントになります。

よくある症状

神経難病の主な症状として以下の症状があります。

視野異常視界全体が狭くなる、視界の一部が不規則な形で狭くなる。左右のどちらかの視界が見えなくなる、視界の中に見えない部分ができる、など。
霧視霧がかかったように、視界が霞んでみえる。
麻痺力が入らない、力を入れにくくなり動作に影響が出てくる。手足が震える、動きが遅くなる、筋肉がこわばり動かしにくい、しゃべりづらい、物を掴みづらい、など。
失調運動(の指示)と筋肉のバランスが上手くとれず、起立・歩行時にふらついたり、何かをつかもうとすると手が震えて落としたり、話すときに呂律が回らない、誤嚥しやすいなど。
複視左右の目の焦点が合わず、物が二重に見えてしまう。
感覚鈍麻外部からの特定の刺激(音・光・痛み・温度・匂いなど)、内部からの刺激(空腹感・喉の渇き・動機・痛みなど)に対する反応が低く(鈍く)なること。
異常感覚何も刺激を受けていないのに、刺激を受けた感覚(しびれ・じんじん・ぴりぴり)が現れる。
易疲労性通常より疲れやすくなること。簡単な作業、入浴や食事などの基本的な日常生活の動作でさえ疲れて動けなくなってしまう。
電撃痛電気が走るような痛み。

上記の症状は神経免疫疾患で、比較的多くみられる初期症状です。
これらを読んで「自分の症状が当てはまるかわからない」「他の病気かもしれない」など受診の判断に迷う方が多くいらっしゃいます。
ですが、「まずは受診する」という行動がどんな病気に対しても早期発見・治療につながる大切な第一歩になります。

色々な検査の結果、神経疾患ではなかったけれど他の疾患が見つかり治療を開始するケースも多くみられます。

清恵会病院には、脳神経内科、脳神経外科、整形外科、内科、外科、眼科、耳鼻科をはじめとした幅広い診療科と、より専門的な医療の提供を目的とする専門治療センターが揃っています。

まず、一番最初は「内科(総合内科)」を受診していただき、自覚症状を担当医にお話しください。ご相談の中で、各種検査についてや脳神経内科・神経免疫疾患センターでの治療が必要か、または他の疾患が疑われる場合は該当診療科(脳神経外科、整形外科、眼科など)や専門医療センターをご紹介のうえ、治療を開始していきます。

受診について

神経免疫疾患センターを受診される場合、かかりつけ医の有無でご予約方法が異なります。
かかりつけ医:現在通院治療・加療している病院、クリニックの担当医。

地域医療機関の方へ

当センターは脳神経内科医を中心として展開しており、急性期病院内にある脳神経内科として、慢性疾患だけでなく急性期の脳神経内科疾患にも幅広く対応しています。また、総合病院の脳神経内科ですのでMRIやCT、エコーなどの即日検査をはじめ、他科とも連携してた疾患による脳神経内科的症状にも対応しています。
神経疾患は治療が確立していない疾患も多いことから、「早期発見、早期治療(投薬など)」が大切になります。今後も近隣の諸施設をはじめとした多くの医療機関のご協力を得ながら診療に励んでいく所存ですので、どうぞよろしくお願い致します。
ご相談・ご紹介につきましては当院地域医療連携室までお気軽にご連絡ください。

清恵会病院 地域連携室