手外科マイクロサージャリーセンター

左写真:左中・環・小指完全切断 右写真:術後2年

左写真:左中・環・小指完全切断
右写真:術後2年

当センターでは、マイクロサージャリー(微小血管吻合)を用いた治療を積極的に行っています。手指の切断や上下肢の開放骨折・軟部組織損傷、骨髄炎などの重度外傷の初期治療から再建手術まで全てに対応いたします。

代表的なものに切断肢指の再接着があります。特殊で高度な技術を必要とする外傷ですので治療が可能な施設は限られており、専門医の受診が必要です。

また、手外科センターでは、特殊なリハビリテーションが必要である屈筋腱損傷、手関節鏡(内視鏡)をもちいた低侵襲手術、橈骨遠位端骨折などの外傷に対する治療も積極的に行っています。

症例の解説と治療

手指の再建

遊離複合組織移植

左写真:母指の切断後の欠損
右写真:左は健側の母指、右が足趾で再建した指

指尖部の損傷は増加傾向にあります。不幸にして指尖を失われた方には、足趾の一部を爪を中心にして移植する遊離複合組織移植により再建する方法があります。

開放骨折の治療

交通外傷等による高エネルギー損傷では、軟部組織の挫滅・欠損を伴った開放骨折をしばしば合併します。通常の骨接合術では対応できない骨折に対しても、遊離血管柄付き骨移植やイリザロフ法を用いた治療で対応しています。また、開放骨折後の偽関節や骨髄炎に対しても、同様の方法で治療を行っています。

屈筋腱損傷

上写真:専門のハンドセラピスト(作業療法士)の指導のもと、リハビリを行っているところです。(右上:左環指屈筋腱損傷) 下写真:術後1年、正常まで回復

上写真:専門のハンドセラピスト(作業療法士)の指導のもと、リハビリを行っているところです。(右上:左環指屈筋腱損傷)
下写真:術後1年、正常まで回復

屈筋腱(指を曲げるすじ)を縫合した後は、癒着を防ぐために入院で特殊な運動練習を行わなければなりません。作業療法士の指導のもと、リハビリを行います。

手関節鏡を用いた最小侵襲手術

手関節鏡を用いた最小侵襲手術

上写真:術中写真
下写真左舟状骨偽関節 左:術前 右:術後

手関節鏡(2.3mmの内視鏡)を用いた低侵襲手術を行っています。従来の大きな皮切を用いた手術に比べて術後の疼痛が軽く、傷跡が目立たないのが特徴です。

【対象疾患】

  • TFCC損傷
  • 母指CM関節症
  • ガングリオン
  • 舟状骨偽関節 等

診療実績

  • 年間 450
  • 肢指の再接着は年間約50肢指
  • 遊離複合組織移植や神経血管柄付き皮弁等は年間約15症例
  • その他の神経縫合や血管吻号をはじめとする顕微鏡を用いた手術を含めると年間150例に達します。